星陵日記

[2017.12.04] OAM大口式インプラント法ベーシックコースに参加してまいりました [2017.08.10] 舌下免疫療法
[2017.11.22] インプラント治療におけるサージカルステントの有効性 [2017.07.20] あなたの割れた歯はまだ残せる⁉
[2017.11.13] あなたの歯周病はどんな細菌によって悪化しているのでしょう? [2017.06.26] アルツハイマー病 と 歯周病
[2017.10.18] 糖尿病の予防・改善には
歯周病治療が効果的です
[2017.06.16] ひ・み・こ の歯がい~ぜ。
[2017.09.30] 歯並びで顔は大きく変わります [2017.05.15] 効果抜群!「筋膜リリース」
[2017.09.12] むし歯を薬で治せるようになる? [2017.03.21] あなたの歯はもっと白くなる!
[2017.08.31] 「コンクールジェルコートF」が
なぜオススメなのか?
[2017.03.01] 今注目の骨ホルモン!
「オステオカルシン」

OAM大口式インプラント法ベーシックコースに参加してまいりました

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皆様こんにちはいかがお過ごしでしょうか。
秋の行楽シーズンも終わり、町中が色とりどりのイルミネーションで飾られるクリスマスシーズンになってまいりました。暖かくして、夜の散歩に行きたくなる季節ですね。

私は、今年の7月に(株)エイペックスメディカ主催の大口式インプラントシステムの女性 限定のセミナーに参加させていただきました。

当初、女性歯科医師に向いている大口式と お聞きして、勝手に体力的に労力を要さない術式だと思い込んで参加してしまったのですが、その講習会を受けさせていただいた結果、全く違った意味で女性に向いているという事を学びました。
百聞は一見に如かずです。

講師の山口葉子先生は現在、昭和大学歯学部インプラント歯科学講座で講師をされていて、 歯科大病院での臨床、学生への指導、並びに私のような一般歯科医師へのご指導も多忙な中、時間を割いて下さってます。
大変、頼りになる先生でございます。

インプラントの埋入窩を形成する方法としては、世界中でもドリリングにより骨を切削していく方法が一般的です。
インプラントシステム発祥の地は欧米であり、このドリリングによる方法は大きく頑強な骨格を有するアングロサクソンやゲルマンには適した方法と言えるでしょう。
しかしながら、我々モンゴロイドは前者よりも脆弱な骨格を有しており、このドリリング方式では対応できない症例が多々あります。

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さらに、欧米と日本を比較すると抜歯に至るまでの期間にも差があると思われます。欧米では割と早期に抜歯の決断をする傾向がありますが、日本では民族性の違いからも歯周病や根管治療をできるだけ試みて、出来るだけ歯牙を保存しようとする傾向があります。
それ故、最終的に抜歯になってしまった場合、残された周囲の骨はより脆弱になっている場合が多いようです。

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理想を言いますと、インプラント物を埋入するには、顎骨に十分な骨量があり、しかも骨質が密でなければなりません。
しかしながらこのような条件を満たす歯槽骨が少なくなってきているのが現状です。

そこで考え出されたのが、ドリルを使用せずに骨をできるだけ削らない方法でインプラント埋入窩を作成していく方法です。
このインプラントシステムが東洋人に適した術式であるとお考えになり、より安全で低侵襲にこだわった埋入テクニックを開発されたのが岐阜県の大口弘先生です。

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OAM (大口式) インプラントシステム

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大口先生は以前より、脆弱、または狭窄した骨への対応法としてドリリングをせずに、オステオトーム、コンデンサー等によって海綿骨をコンデンスしながら埋入窩を形成していく方法を実践されていたそうです。
しかし、一般的なオステオトームなどの器具は挿入時の抵抗が大きくマレッティングの必要があり、骨頂部の裂開を引き起こすという問題がありました。

そこで独自に開発されたのが、0.2mmごとにサイズアップさせたオーギュメーターです。
前歯部用、臼歯部用各16本から構成されます。(最小直径が0.5mm最大直径は3.6mm。)

基本術式

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OAMインプラントシステムのプロトコルは、起始点の形成 (Marking)、リーミング (Reaming)、そしてエクスパンディング (Expanding) による床形成という「M-R-E シン プルシステム」が基本となり、インプラントの埋入手術が実行されます。

今回のベーシックコースでは豚骨を使用して実習を行いました。

【Marking 皮質骨の穿孔】

多くのインプラントシステムのプロトコルではイニシャルドリルが直径2.0mm程度にな るのに対し、この方法は骨頂部に0.7mmのマイクロイニシャルバーを用いてピンホール を設けます。

【Reaming リーミング】

市販のリーマーもしくはKファイルを使用して骨内の状況を把握する。

【Expanding 骨幅拡大】

オーギュメーターを使用して一段階ごとに穴を拡大していきます。

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ドリリングの場合、骨頂部が削除され垂直的骨量が低くなるのに対し、オーギュメーターを使用する方法では骨頂部を拡げることにより、骨頂部が削除されないため垂直的骨量の維持、もしくは増加が期待できるという驚きの副産物もあるそうです。

また専用のツールはリーマー、ファイルのように指先で保持して反転運動させて使用するため、日ごろの慣れた感覚でインプラントオペを行っていけるという安心感があります。

リーマー、オーギュメーターには皮質骨を穿孔する能力が無いため、解剖学的に危険な領域をPerforationする可能性が少ないというのも安心して行える術式と言えます。

この様な指先の繊細な感覚を使いながら埋入窩を作成していく術式が女性に向いていると考えられる所以でしょうか。

まずはこの基本的術式を山口先生のご指導に従い一通り練習させていただきました。
スッテプごとに丁寧にオーギュメーターを使用して骨を拡大していきます。

その作業は上顎などの骨質の柔らかい部分には無理なく進めていくことができるそうですが、下顎の骨などで硬い骨部分にはドリルを併用して削合するハイブリッド法を教えていただきました。
実習では豚骨の軟らかい部分と硬い部分の両方で練習させていただきました。
骨の硬さをタイプ別に分類して下さったのがありがたかったです。

OAMインプラントシステムは骨幅の違いにより術式を分類します。
埋入部位の歯槽骨板が脆弱骨で幅広の場合と狭窄骨の場合と2つに分けて考えることが重要だそうです。

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狭窄骨の場合は拡大し、それ以外の場合はコンデンス、海綿骨移動術を試みます。
これら術式の最大の目的は、既存骨を出来るだけ削らずに埋入窩を作成することです。

狭窄骨拡大をする事および海綿骨移動により、GBRの回避、または大掛かりなGBRを軽微にすることができます。
また、コンデンスにより初期固定獲得が可能となります。

OAMインプラントシステムの最大の特徴は、外科的侵襲を最大限に抑えて術後の腫脹や疼痛を極力抑える事ができ、何よりも安全な方法であるということです。
また縦切削をしないため4壁性のインプラント床となり血餅の保持が容易で初期固定も良好で血液供給も豊富であるため、予知性の高いインプラント埋入術となるそうです。

確かに私のような女性の歯科医師でも、この安全な方法でならインプラントオペをしてみてもいいかな?という気になりました。
もちろん、山口先生にご指導いただいて分かったことは、大多数の症例はまずドリリング法で行っているそうです。

まずは一般的な症例はドリリングで初めてみて下さいとご指導されました。
実際に、オーギュメーターを使用して骨を拡大していきましたが、1つ1つのステップが多いので、途中で疲れました。
山口先生も硬い骨への対処法として、ハイブリッド法を薦めて下さいました。
無理なく挿入できる深度までオーギュメーターを挿入し骨頂部のみを拡大します。
その後骨頂部よりも細い径のドリルでインプラント長まで形成します。

機械と手動をうまく組み合わせる事によって時間も短縮され、術者と患者様、両者への負担が減り効率的にオペが進められるということでした。

硬い骨への対処法として言えることは、無理な力は使わずに術式を切り替えることだそうです。
ステップバック、ジグリング、ハイブリッド、ボーンスリッティング法が挙げられます。

さらに、様々なテクニックに改良を重ねた結果、前歯部抜歯窩即時埋入法、前歯部狭窄骨に対する大口式オメガスリッティング法、また上顎洞に近接した部位にフィクスチャーを埋入するソケットリフト法など難症例に対応すべく素晴らしい術式が実践されています。

インプラント治療の難しさ、また難しい症例を何とか成功させていこうとする講師の先生方の努力と熱意が伝わる非常に有意義なインプラント講習会でした。

患者様にとっても、非常に安全な方法だと思いました。
今回この講習会に参加できて本当に満足でした。

歯科医師  大庭美和子

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インプラント治療におけるサージカルステントの有効性

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こんにちは。
皆さんはインプラント治療で用いられるサージカルステントをご存知ですか?
今回は、近年インプラント治療のデジタル化により飛躍的に進歩を遂げているサージカルステントについて注目していきたいと思います。

<サージカルステントとは?>

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術前に撮影したCT画像で計画したシミュレーション通りにインプラントを正確に埋入するためのガイドプレートです。
インプラント埋入の術前計画ではCTデータにより顎骨の密度や量、血管・神経の位置を確認してコンピュータでインプラント体のサイズや埋入位置、方向を決定します。

サージカルステントが導入される以前は、実際の埋入手術は術野を確保するために歯肉を切開して顎骨の形態を目視しながら進めていくという方法でしたが、術者の技量に依る部分もあり、事前に用意した埋入計画が正確に反映されないことや患者さんへの侵襲が大きいといった問題点がありました。
しかし、このサージカルステントを使用することにより、術前シミュレーションで確実に安全と診断された部分に正確な角度、深度でドリルを誘導し、埋入窩を形成することができます。

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また、条件が揃えばフラップレス手術といって、ピンポイントで歯肉の除去を行った顎骨にインプラントを埋入することもでき、さらに、術前に補綴物を設計・製作することで即時に口腔の機能を回復することが可能になりました。

<サージカルステントの作製>

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診査・診断の上、患者さんの顎の模型をとり、その模型上でマウスピースを作製します。次にこのマウスピースを口腔内にセットしてCT撮影を行い、CTデータをコンピューターに取り込み、インプラント専用のソフトウェアで3D画像化します。この3D画像をもとに埋入計画を立て、3Dプリンターでサージカルステントを作製します。
材料として剛性の高い樹脂を用いたり、十分な厚みを確保するなど破折やたわみに対する配慮も必要になってきます。

<サージカルステントのメリット>

以下にサージカルステントを用いた場合のメリットを挙げてみたいと思います

1. 従来と比較してより確実な埋入ができる
2. 顎骨の形態を考慮しつつ、最終的な補綴物までもイメージして、インプラント治療を行える
3. 歯肉を切開する必要がないため、疼痛や腫張を軽減できる(症例による)
4. 手術時間を短縮できる

<サージカルステントのこれから>

現在、国内でサージカルステントを取り扱っている歯科医院はまだ少数ですが、安全にインプラント治療を受けていいただくために非常に有効なシステムです。
インプラント治療におけるあらゆるステップがデジタル化されつつある中で、サージカルステントの使用は必須となってくるでしょう。

歯科医師 廣田小百合

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あなたの歯周病はどんな細菌によって悪化しているのでしょう?

こんにちは。最近はすっかり冷えてきましたね、皆さん防寒対策を忘れずお過ごし下さい。

皆さんは、「国民病」である歯周病についてどれほど知っていますか?

国民病と呼ばれる所以は、歯周病になっている方が成人の8割を超えており、そして歯を失う原因の1位であるからです。
これだけ怖い病気であるにも関わらず、意外と歯周病について知らない方も多いのではないでしょうか。

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歯周病とは、歯茎が炎症を起こす歯肉炎と、歯の周り組織が破壊されていく歯周炎の総称です。

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・歯肉炎
歯周ポケットに歯垢(プラーク)が溜まった 状態が続くと発症します。歯茎から血が出た り、歯茎が腫れたりします。
歯肉炎は歯垢が原因であるため、除去すれば 症状は次第に回復していきます。
治療をせず放置してしまうと、より重症度の 高い歯周炎に移行します。

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・歯周炎
歯周ポケットに存在する細菌の感染症です。
歯茎に炎症が起きるだけでなく、歯を支え る組織(骨や繊維)に炎症が起き、組織が 溶けていきます。

自然に治ることのない歯周病を放置してお くと、悪化の一途をたどります。歯を支え る骨が溶けていき、歯がグラグラしたり、 咬むと痛みが出たり、強い口臭が出たりします。

歯周病の治療とは?
歯周病治療といえば昔から「歯磨き指導」と「歯石除去」により歯の周りのお掃除が一般的な歯科医院でされている基本的な治療です。

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ブラッシングによる歯周病の基本となる治 療を始めた後、専用の機械による歯石(細 菌の死骸の塊)の除去を行います。
歯石は 歯の表面に付着し、細菌の温床となってい ます。歯ブラシによる除去が出来ないため、 機械で落としていきます。

そして、歯ブラシでは届かない歯周ポケッ トの深いところをクリーニングし、細菌数 を減らして口腔内環境を改善します。

歯周病の治療には、患者様に日々の徹底した歯ブラシを行ってもらうのがとても重要になってきます。
クリーニングを歯科医院でしても、歯ブラシをしなければまたすぐに汚れがたまってしまうからです。

しかし、この基本的治療をしても、一生懸命歯磨きしても、なかなか歯肉の炎症が取れず、歯肉の腫れや出血・口臭で悩まれ、歯周病で歯を失う事があるのも事実です。
健康なお口の環境を取り戻すには、患者様の歯周病に関与している細菌を特定し、ひとりひとりにあった治療方法で歯周病の改善に努めることが重要です。
この考えに基づいて生まれたのが歯周内科治療です。

あなたの歯周病はどんな細菌によって悪化しているのでしょう?

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研究により、歯周病はスピロヘータ などの真正細菌や、真菌(カビ)や 原虫(歯肉アメーバ)などによる感 染症であることが確認出来ています。

歯周内科治療の概要・治療方法は?

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歯周内科治療は、一般的な歯周病の治療に 内科的治療が加わった歯周病治療システム です。
位相差顕微鏡でお口に生息する歯周病の原 因(細菌)を特定します。
歯周病は感染症ですから、原因を突き止め ることができれば、より良い治療ができま す。
歯周病がなかなか治らないとお困りの方は、 まずお口の検査から始めてみましょう。

 

歯周内科治療には顕微鏡を使います

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歯周内科治療では位相差顕微鏡を用いて原因菌 を調べることから始めます。
お口の中には約1億~10億匹もの細菌が生息して いると言われています。
その中で、スピロヘータなど病原性の高い細菌 や真菌(カビ)が増加すると歯肉の炎症が強く なります。
歯周病の状態や原因菌の種類によって治療内容 も変わってきます。

歯周内科治療の方法には4つの大きなポイントがあります。
1. 顕微鏡での菌の確認
2. 細菌の除去薬剤の内服
3. カビの除去薬剤あるいはカビとり歯磨き剤での歯磨き
4. 除菌後の歯石とり
歯周病菌のどの種類が多いのか。顕微鏡で確認し、薬を選択します。

歯周内科治療で使用する飲み薬は、内科ではごく普通に使われている一般的な薬です。
歯みがき剤も天然成分で作られているので安心して使用することができます。

代表的な内服薬-ジスロマック

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1日に1回2錠を3日間服用します。
歯周病嫌気性細菌に対して強い抗菌 力を発揮する抗生物質で、細菌の蛋 白質の合成を阻害することで、その 増殖を抑えます。
薬物自体が備えている食細胞を利用 したドラック・デリバリー・システ ムにより感染局所に集中して留まり、 長期的に強い抗菌力を発揮します。

歯周内科専用歯みがき剤-ペリオバスターN

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真菌(カビ)の除去が目的の天然成分で構成 できた安全な歯みがき剤です。
ペリオバスターの主成分は食肉類の腐敗防止 剤として開発されたもので、人体に安全な天 然成分です。 アロエやヨモギ、ヒノキ、人参、 海藻といった漢方の成分でできており、副作用 の心配もありません。

歯周病により失ってしまった歯の周りの骨は、基本的に元に戻ることはありません。
歯周病が重症かする前に、しっかり鹿の定期健診を受けることが歯を守る一番の方法です。
定期検診をうけ、歯周病の予防に努めましょう。

歯科医師 後藤祥太

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糖尿病の予防・改善には
歯周病治療が効果的です

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先日ある患者さんが久しぶりにお越しになり、「自分は糖尿病なのだけれども、かかりつけの内科の先生から、歯周病の治療をきちんとしないと糖尿病が悪くなるから歯科にもちゃんと通ってくださいと言われて来たんだよ。」とおっしゃいました。

受診をすすめてくださった内科医の先生も、きちんと来院された患者さんも、歯周病と糖尿病が深い関連があるという最新の研究結果を受けとめ即行動に移され、とても素晴らしいと感じました。

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といいますのも、先月9月22日の朝日新聞の1面の記事によりますと、厚生労働省の国民健康・栄養調査において、国内の高齢化が進んだことにより糖尿病予備軍は減少したものの、糖尿病が強く疑われる「有病者」が推計で1千万人に増加しており、そのうちの約23%は治療を受けていないらしいのです。

糖尿病とは、慢性的に血糖値が高くなる病気で、初期には症状がほとんどありませんが、血糖値が高い状態が続くと痛みやしびれ、感覚が鈍くなる、感染が起きやすくなるなどの症状が出始め、網膜症による視力低下、腎不全や尿毒症、脳卒中、心筋梗塞などと多岐にわたる合併症により命を脅かす疾患です。

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医師の指導のもと、食事療法、運動療法、薬物療法など適切な治療を行い、血糖の状態を表す指標である「ヘモグロビンA1c」の値を低くコントロールする必要があります。

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さて、近年の研究で、歯周病は糖尿病と相互に悪い影響を及ぼしあい、歯周病があると糖尿病の血糖コントロールが難しくなることがわかっています。
なぜ糖尿病と歯周病が関連しているのでしょうか。

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歯周病は、日本人のほとんどが罹患しているといわれている感染症で、歯の表面や歯と歯肉の間で増えた歯周病菌が増殖し、歯肉に炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かし、ついには歯が抜け落ちていく病気です。
歯周ポケットにいる細菌は血管内に容易に入りこみ、全身に回ります。
細菌の細胞壁に含まれる内毒素(エンドトキシン)が排出され、血液中の糖分の取り込みを抑えるTNF-αの産生を亢進するため、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔します。
これが糖尿病に悪影響を及ぼす理由です。

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また反対に、糖尿病の方は健康な方の約2倍も歯周病が悪化しやすいことがわかっています。
高血糖で多尿になり口渇がおき口腔内で細菌が繁殖しやすい、菌に対する抵抗力が弱く感染しやすいためと考えられています。

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歯周病治療は、歯垢や歯石を徹底的に除去します。
ご自身での毎日のブラッシングが重要なことはいうまでもありませんが、歯周ポケットの深いところや硬くなってしまった歯石は自分では取り除けませんので、歯科治療と患者さんの毎日の口腔ケアの「両方」が重要です。

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歯周病は自然治癒することがありませんし、ある程度進行すると「歯肉や顎骨が元通り完全に治る」ということもありません。
良好な状態を維持するということが治療の目標になります。
ですので、定期的なメインテナンスが不可欠です。
一生うまくつきあっていかなければならない慢性疾患です。
ぜひ、気軽に相談できるかかりつけの歯科医院をみつけてください。

歯科医師 富永克子

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歯並びで顔は大きく変わります

1.顔の印象は口元で決まる!

みなさんは、顔の印象はどこで決まると思いますか?
昔から「目は口程に物を言う」というから、目だと思いますか?
実は、口元がかなり大きな役割を担っているのです。
マスクをして目元のメイクをして、他の人の真似をする芸能人がいると思いますが、あれは目だからできることなのです。他の言い方をしてしまえば、口元を隠しているから似せることができるのです(そう簡単に真似はできませんが)。
ぜひ、いろいろの人の口元を隠して観察してみてください。

2.咬み合わせが悪い、歯並びが悪い原因

歯並びが悪くなる原因は遺伝と言われてきましたが、はたして本当なのでしょうか?

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この画像は、Dr.John Mewによるもので、とても有名な画像です。
右側は姉、左側は妹だそうです。この2人の違いは何だったと思いますか?
姉は口呼吸で、妹は鼻呼吸で育ったそうです。
つまり、歯並びの原因となっているものは、遺伝の要素よりも習癖などによる環境の要素の方が大きかったのです。

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この画像も有名なものです。
成長の途中で、ネズミを飼ったことによって鼻閉となり、口呼吸になってしまったそうです。

口呼吸だけではありません。低位舌、異常嚥下などの習癖も、顎の発育に悪影響を及ぼし、歯並びが悪くなる原因となります。

3.歯を動かす力

歯牙を移動させる力は1.7gであると言われています。だいたいペットボトルのキャップくらいの重さの力で歯は動いてしまうのです。

では、舌の力はどれくらいでしょう?
A. 50g
B. 250g
C. 500g
ぜひ考えてみてください。
正解は、C. 500gでした。舌には、ちょうど500mlのペットボトルの重さの力と同じくらいの力があるのです。

唇(くちびる)周辺の筋肉には300gの力があると言われています。

では、無意識嚥下(無意識にごっくんと飲み込むこと)は1日に何回しているでしょうか?
A. 200回
B. 1200回
C. 2000回
正解は、C. 2000回でした。

つまり、1日に2000回も正しい嚥下をしているか、正しくない嚥下をしているかで、歯の位置は大きく変わってきてしまうのです。

4.矯正治療をしても後戻りしてしまう?

子供の頃から早いうちに歯並び・かみ合わせが悪くなる「原因」、具体的には、「呼吸」「舌」「嚥下」「口唇」の機能が正常になるように治療を進めていくと、顎が正常に発育して、歯並びもよくなります。
では、大人になってからではもう遅いでしょうか?いわゆる歯にブラケットをつけて矯正をしても後戻りするからとためらっている人もいるのではないでしょうか?
ここまで読んでくださったみなさんは、もう想像ついていると思います。そう、歯はとても小さな力で動いてしまうので、口唇や舌に悪習癖があると、後戻りをしてしまうのです。
矯正治療中に、悪習癖についてきちんと知り、治していけば、後戻りの心配は減ると思います。

5.矯正治療しか方法はないの?

咬み合わせがズレてしまうと、顎関節症、頭痛、肩こり、めまいなどの原因になることがあります。場合によっては、歯根破折や補綴物(被せものや入れ歯)の破損の原因になることもあります。
咬み合わせが低くなってくると、本来の咬み合わせの力より、余分に歯に力が加わってしまいます。若いころよりもだんだん歯が動いていることはありませんか?
下顎が後退していると、気道がせまくなり呼吸しにくい状態になっていて、よく眠れないこともあります。

矯正治療の選択ができなかったとしても、スプリント(マウスピース)治療や補綴(被せものや入れ歯)治療で、本来あるべき位置で咬み合わせを作ることによって、これまでは不定愁訴と思われてきたもの(頭痛、肩こり、めまいなど)が改善することがあります。

あなたの咬み合わせは大丈夫ですか?

もし、何か咬み合わせでお悩みのことがあれば、歯科医師にご相談ください。

歯科医師  梶永

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むし歯を薬で治せるようになる?

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暑かったり、雨が続いたり...おかしな今年の夏でしたが、少しずつ秋の訪れを感じるようになりました。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、皆さんはどんな秋を過ごされるのでしょうか。

今回は皆さんにとっても私たち歯科医師にとっても素敵な未来のお話です。
歯髄(しずい:よく歯の『神経』と言われている部分)に届いてしまった大きなむし歯でも現在のようにたくさん削って歯髄をとらなくてもよくなるかもしれないのです。

むし歯は進行すると歯髄に届き、炎症や痛みを生じます。
現在ではこうしたむし歯による感染が歯髄にまで達してしまうと歯をたくさん削り、歯髄を除去(抜髄処置:神経を抜く治療)行っています。
その結果歯が弱くなってしまい、将来、歯を喪失するリスクが高くなります。
生えている木と枯れ木を想像していただくとよいと思います。

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今年の7月、新潟大学医歯学総合病院の大倉直人助教らのグループにより、歯髄の持つ高い自己治癒力を利用した薬剤による治療法の確立に向けた研究がネイチャー・パブリッシング・グループの英国科学誌「Scientific Reports」に世界で初めて発表されました。

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Effects of pulpotomy using mineral trioxide aggregate on prostaglandin transporter and receptors in rat molars Scientific Reports 7, Article number: 6870 (2017)

今回の研究では、プロスタグランジンという物質の発現の様子を観察しています。
プロスタグランジンは、第3のホルモンとも言われ、人間の体内の様々な生体反応(呼吸、炎症、化膿など生きている人間に起こる反応)など、体のほとんど全ての機能と関係しているといってもいいほどの物質です。その中でも、今回の研究のプロスタグランジンE2は胃粘膜の保護、痛みの増強、発熱に関わっていると言われています。
大倉らのグループが、ラットの歯に開けた穴に特殊な薬剤を置いたところ、プロスタグランジンE2を輸送するトランスポーター(PGT)と呼ばれるタンパク質と結合する受容体(EP2)が歯の象牙質を作る細胞(象牙芽細胞)や血管に認められました。創傷を受けた際に細菌が歯髄へ侵入するのを防ぐための修復象牙質が形成されますが(ヒトの身体ってよくできてますね)、その形成機構にプロスタグランジンE2が関わっていることを示しています。
また、歯髄組織の中の神経線維にも認められ、神経を保護する役割にも関わっていると考えられます。

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今回の研究がラットの歯からヒトの歯へと進めば、薬を使った歯髄処置によって歯を丈夫なままで残すことができるようになり、しっかり噛むこと、おいしく食事を召し上がっていただくことへとつながります。
患者さんにとって喜ばしいことであるのはもちろんですが、歯科医師である私たちも助かります。抜髄処置って大変ですから・・・。

歯科医師 武田加奈

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「コンクールジェルコートF」が
なぜオススメなのか?

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歯磨きをするとき歯磨き粉を使っていますか?
ほとんどの方がはいと答えるのではないでしょうか。
ではその歯磨き粉はなんの目的で使っていますか?それはどのような基準で選びましたか?

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今回はAmazon"大人用歯磨き粉売れ筋ランキング1位"の「コンクールジェルコートF」をご紹介します。

コンクールの製品は歯医者さんによく置いてあり、いかにも効きそうに感じます。
そのコンクールのジェルコートFは洗口剤としてだけではなく、歯磨き粉としても 使用できる製品です。

★メリット

・ジェルタイプですっきり磨ける
・歯がつるつるになる
・使い始めてから、虫歯になっていない

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コンクールジェルコートFは低発泡性なので歯を1本1本丁寧に磨くことができます。
(発泡性とは、いわゆる歯磨き粉の泡立ちのこと)
泡立ちのよい高発泡性の歯磨き粉を使用していると何となく口がさわやかになった気がして実は丁寧に磨けていなかったりすることが多いのです。

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さらに、コンクールジェルコートFには、塩酸クロルヘキシジン、フッ化ナトリウムが配合されており、塩酸クロルヘキシジンは歯周病菌に対して殺菌効果があり、フッ化ナトリウムは再石灰化を促してくれます。

★デメリット

・歯の着色汚れがだんだんと目立ってくる
・他の歯磨き粉より辛い
・容器が硬くて量を調節しにくい

コンクールジェルコートFには研磨剤不使用となっており着色汚れしやすいという欠点があります。
美白用の製品ではないのでホワイトニング効果を求めるなら、しっかり歯を白くする成分の入ったホワイトニング歯磨き粉を選んで下さい。

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ちなみに、コンクールジェルコートFとマウスウォッシュの「コンクールF」の併用もオススメです。高い殺菌力を持ち、歯茎の炎症を抑える効果も期待できます。

健康な口腔内を維持する為にも、市販の歯磨き粉にはない、大きなメリットを持っている歯磨き粉を使用してみるのも良いのではないでしょうか。

商品選び等お困りの時は遠慮なくお声かけして下さいね。

歯科衛生士 前田由香

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舌下免疫療法

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みなさん、舌下免疫療法というものをご存じですか?
これは花粉症の治療に行うアレルギー免疫療法(別名:減感作療法)という方法のひとつで、アレルギーの原因となるものを徐々に与え、抵抗力をつけるという方法です。
他には皮下注射を行う皮下免疫療法があります。
 

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舌下免疫療法は口にアレルギーの素を含み、少しずつ濃度を上げながら抵抗力を高めていく方法です。
舌の下から吸収することで、顎の下左右にあるリンパ節にアレルギーの素が届きやすくなります。

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ではどのくらいやればいいのでしょう?
皮下注射も舌下療法も2~5年くらいの長期間の治療が必要です。

注射は病院でしかできないうえに痛みを伴いますが、舌下免疫療法は痛みがなく、
しかも自宅でできるので、続けやすいというメリットがあります。

また、舌下療法は副作用も発言しにくく、いま注目が集まっている方法です。
1回目の投与は医療機関で行いますが、2回目以降は自宅で行います。

厚生労働省の決まりで初めの1年間は2週間分しか処方ができないので、その間は2週間に1回の通院が、その後も月に1回は通院が必須になります。

まれにですが、アナフィラキシーなどの副作用が出ることもあるので専門の医師の指示で行うようにしてください。

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副作用の発現を避けるために、以下の注意点があります。
・舌下への投与後、5分間はうがいや飲食を避ける。
・舌下への投与後、2時間は激しい運動や入浴などは避ける。

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また、妊娠されている方、喘息の症状が強く出ている方、重症の口腔アレルギーの方、抜歯などの口腔内の術後で傷や炎症などがある方、ステロイドや抗がん剤、β阻害薬使用など特定の薬を使用されている方などは 免疫療法を適応できない場合がありますので、お医者さんとよくご相談してからにしてくださいね。
日本国内で保険適応となっているのは今のところスギのみで、スギ以外のアレルギーには効果がありません。

また同時に複数のアレルギーをお持ちの方も、効果はスギに限られます。現在、国内でのダニの臨床試験がされていますので、数年後にダニの免疫療法ができるかもしれませんね。

歯科医師 鈴木眞由美

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あなたの割れた歯はまだ残せる⁉

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皆様こんにちは。
花火大会が待ち遠しい季節となりましたね。
厳しい暑さが続きますが、これからの夏のイベントを楽しんでください。

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今回は割れた歯の治療・予防についてお話ししたいと思います。
それまで全く問題無く普通に使っていた歯が、ある日突然縦に裂けてしまう事があることをご存知でしょうか?
このように歯の根が割れたり、ひびが入ってしまうことを「歯根破折」といいます。

歯根破折は虫歯、歯周病に次いで歯を失う原因の3位に位置しています。
今回は誰にでも起こる可能性がある歯根破折についてお話したいと思います。

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まず、歯の破折には割れている場所により歯冠破折、歯冠歯根破折、歯根破折の3つに分類されます。

歯の見える白い部分である歯冠部が割れることを歯冠破折、歯冠から歯の根にかけて割れているものを歯冠歯根破折、この中でも歯根破折は、歯茎の中に埋まっている歯の根っこが割れることを歯根破折と呼びます。
見えない部分なので気付くのが遅れがちです。
また、歯根破折を起こしていても痛みが出ない場合があります。

破折に気が付かない、気付いても日常生活に支障がないため放置しがちです。
しかし破折するとその隙間から細菌が入り込み炎症をおこします。炎症は周辺の歯茎や顎の骨にまで広がり、最悪の場合顎の骨を溶かしてしまいます。

歯根破折の症状

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・歯がしみる
・歯が痛い
・噛むと痛い
・歯茎がうずく
・歯茎が腫れる
・歯がぐらぐらする

<歯根破折を起こす原因>

歯根破折になる歯の多くは虫歯治療で神経を取った歯です 神経を取るということは重症の虫歯だったということですから、それまでにたくさん歯を削っている可能性が高く、既に脆くなっているのです。

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・何度も治療している歯
健康な歯に比べて歯を削って細く小さくしているため、治療を何度も繰り返すことで弱ってしまいます。

・歯ぎしりや食いしばりの癖がある
歯ぎしりや食いしばりは歯にかなりの負担がかかる為、歯根破折のリスクが高まります

・金属の土台が入っている
神経を取った歯の土台が歯より硬い金属の場合、柔らかい歯の方に力が集中してしまい歯根破折のリスクが高くなります。
また、歯を削る量が多く歯が薄くなるのも原因の一つです

・転倒、ぶつける等の歯への外傷
上の前歯に多く、強い力がかかることにより割れる事があります。事故の場合は防ぐことが出来ませんが、スポーツを行う際は出来るだけスポーツマウスピースを付け、外傷から歯を守りましょう。

<治療法>

・口腔内接着法
比較的小さい破折の場合は、歯を抜かずに口腔内で接着処理をする。抜歯や固定の必要がないので身体への負担が少なくすみます。

(1)口腔外接着再植法
一度抜歯を行い、特殊な接着剤で破折した部分をきれいに修復し、再び抜歯窩に歯を戻します。1ヶ月程固定をして定着させます。
抜歯をするので修復と炎症部分の除去を確実に行えます。

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(2)割れている根だけ抜歯 部分抜歯
奥歯で根の数が複数ある場合は、割れる根だけを切断して抜歯します。

<歯根破折を防ぐ方法>

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・虫歯を早めに治療
・神経を残す治療法
・金属の代わりにグラスファイバーの土台をいれる
・マウスピースの着用

従来、歯根破折した歯の治療法は基本的に抜歯でした。
これは割れた部分から細菌が入り、炎症を起こすことにより顎の骨が失われるため、原因となる歯を根こそぎ取る必要があった為です。
今では歯根破折を治療するための研究が進み、治療することで従来抜歯せざるを得なかった歯でも助かるケースが増えてきました。
治療するより歯を抜く方がずっと簡単です。
しかし自分の歯で食べたい、歯を抜いて欲しくないと願う患者さんが殆どです。

近年確立されて、また新たな接着技術により一人でも多くの方の歯を抜かずに保存する、私たちは少しでもそのお手伝いが出来れば幸いです。

歯科医師 岸結城

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アルツハイマー病 と 歯周病

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6月4日(日)~10日(土)は歯と口の健康週間です!

今年の標語は、『 「おいしい」と「元気」を支える丈夫な歯 』です

と日本歯科医師会のホームページに記載されております。
皆さん、「歯と口の健康週間」のことをご存じでしょうか。

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これは、厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会が1958年(昭和33年)から実施している週間で、もともとは1928年(昭和3年)に日本歯科医師会が、「6(む)4(し)」にちなんで6月4日に「虫歯予防デー」をスタートさせ、それが現在の「歯と口の健康週間」へ続いているものです。

さて、冒頭の標語の「元気を支える」の部分について、歯が健康であれば元気なのは当たり前と皆さん直観的に納得されると思いますが、それを科学的に裏付ける研究データがたくさん報告されていますので、その中の一つをご紹介致します。

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日本大学歯学部の落合邦康特任教授(口腔細菌学)らの研究チームが、歯周病菌が作り出す「酪酸」がアルツハイマー病を引き起こす一因になる可能性があるという研究結果を5月12日の日本歯周病学会で報告しました。

落合教授は、口腔内や腸内細菌と全身疾患の関連についての研究が専門で、2016年11月30日のNHKのTV番組「ガッテン!」をはじめ他の番組にも出演され、口内フローラ(口腔内の細菌群)健康について解説されています。

歯周病患者の歯と歯肉の隙間の歯周ポケットからは健常者からの10倍以上の酪酸が検出され、その酪酸が血流に乗って脳内細胞に取り込まれ脳細胞にダメージを与える酸化ストレス物質(ヘム、過酸化水素、遊離脂肪酸)を生成することで脳細胞が傷つくことをチームはすでに報告していますが、今回の研究では、健康なラットの歯肉に酪酸を注射し6時間後に海馬や松果体、下垂体、大脳、小脳の酸化ストレスの状態などを分析したそうです。

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酪酸を注射したラットは、通常のラットに比べ、全ての脳の部位で平均35~83%も酸化ストレス物質の濃度が上昇しており、中でも海馬での上昇率が最も高く、アルツハイマー病の患者の脳神経細胞内で異常蓄積するたんぱく質「タウ」の量が平均42%も増加していたそうです。

また、細胞の自殺を誘導する酵素「カスパーゼ」の活性も海馬で平均87%増加していたとのことでした。
今後は歯肉から脳内にどれだけ酪酸が入り込むのか、酪酸を注射した動物がアルツハイマー病を発症するかどうかを検証する予定とのことです。

アルツハイマー病の発生機序が完全に解明されているわけではないので、今後更なる研究報告が待たれますが、糖尿病、早産、骨粗鬆症、動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎など様々な全身疾患と歯周病の関連についてもすでにたくさんの報告がされており、日本人成人の80%以上が罹患していると言われている歯周病対策を怠らないことが、健康への近道であることは確かだと言えるでしょう。

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自分はちゃんと歯磨きしているから歯周病なんて関係ないと考えておられる方も、毎年6月にはご自分の歯や歯茎をじっくり見て頂き、歯科医院の定期健診の予約をとってもらえると嬉しく思います。

歯科医師 富永克子

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ひ・み・こ の歯がい~ぜ。

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みなさんこんにちは!紫陽花の花が綺麗な季節になりましたね!

ところでみなさん、よく噛むことが健康に繋がるという話を聞いたことはありませんか?
美味しいものを食べることは、生きていく上でとても重要なことです。
良い『歯』でよく『噛む』ことが健康に繋がる理由についてご紹介しようと思います。

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良い『歯』ってどんな歯?

・虫歯
もちろん虫歯ではない歯を真っ先に思いつくと思います。
虫歯によって穴の空いてしまった歯でご飯を食べてもうまく噛むことができません。

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・噛み合わせ
噛み合わせも重要です。
各々の方にあった歯並びをしていることが、上下の歯でものを噛む際にとても重要となってきます。

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歯だけではありません、歯の周りを支える「歯周組織」の状態も『噛む』ことにとって非常に重要な因子の一つとなります。
みなさんは歯周病という言葉を聞いたことがあると思います。
歯周病は日本人の8割以上が罹患していると言われており、歯の周りの骨を溶かしてしまい、歯を失う原因の一番の第1位という、とても怖い病気なのです。

よく噛むと、どんないいことがある?

はるか昔のご先祖様たちに比べて私たちは食事の時の噛む回数が大幅に減ったと言われています。弥生時代、卑弥呼の時代には調理方法も発達しておらず、消化を良くするためによく噛んで食事をしていました。一回の食事で噛む回数は4000回程度、1時間近く食事をしていたと言われています。 現代では一回の食事で噛む回数は600回程度しかなく10分程度で食事を終えています。そのため現代人は、昔に比べ、アゴが小さくなり歯の数が減ってきているのです。アゴが小さくなると、アゴを支える周りの筋肉量が減り噛む力が弱くなってしまいます。歯が少なくなると噛む『面』の面積が小さくなり噛む効率が下がってしまいます。

『よく噛む』と健康にいい理由

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『よく噛む』と健康にいい理由は、大きく8つあります。私たちの世界では頭文字をとり『ひみこのはがいーぜ』と言われているんです。

・(まん)肥満をふせぐ
よく噛まないと、満足感がなかなか得られません。よく噛むことで満腹中枢を刺激することで肥満を防ぐことができます。

・(かく)味覚の発達
よく噛むと唾液が出ます。湿った口の中では食べ物本来の味を味わうことができ、味を感じる味蕾という組織を刺激することで味覚の発達を助けます。

・(とば)言葉の発音がはっきり
よく噛むと口の周りの筋肉が使われます。その効果ではっきりと発音ができるようになります。

・(う)脳の発達
よく噛むことで脳の血液循環がよくなり脳の細胞が活性化し、発達を促します。

・()歯の病気を防ぐ
よく噛むと唾液が多く分泌され、口のよごれを洗い流してくれます。また酸性に傾いたくちの中を中性に戻す役割があります。

・(ん)がんを防ぐ
唾液の中に含まれる酵素により、食品の発ガン性物質を消す

・(ちょう)胃腸の働きを促進
よく噛むことで消化酵素が出て内臓の働きを助けると言われています。

・(んしん)全身の体力向上と全力投球
しっかり噛める良い歯があると、脳に活力を与え、必要な時に歯を食いしばり、全力を出し切ることができます。

『良い歯』で『よく噛む』ことでたくさんのいいことがあります。
皆さんもよく噛んで、食事を楽しみ健康な生活を送りましょう!

歯科衛生士 石川清花

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効果抜群!「筋膜リリース」

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新緑が目にしみて心地の良い季節になりましたね、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回は、最近、簡単で効果抜群のストレッチ法として注目されている、『筋膜リリース』について少しご紹介しようと思います。

〈筋膜とは 〜第二の骨格〜とその役割〉

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筋膜とは全身にある様々な筋を作っている膜の総称で、存在する場所により

・浅筋膜
・深筋膜
・筋外膜
・筋周膜
・筋内膜

といった名称がつけられています。

筋膜は筋繊維をまとめ筋肉の形を保つことで全身の形態や臓器の位置を維持しているといった点で骨格と同じような働きを持っているため第二の骨格と呼ばれることがあります。

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筋膜の役割としては、

・体の形、姿勢を保つ
・体の動きをコントロール
・温度や触覚、圧力を感知するセンサー
・筋肉同士の連携をさせる司令塔

といったものが挙げられます。

〈全身の筋膜が硬くなることで生じる弊害〉

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筋膜は名前の通り様々な筋を包んでいるため筋肉が収縮、弛緩をすると筋膜同士で滑走しスムーズに運動を行うことに寄与しています。
また筋膜は血管や神経の通り道になっているため、筋膜が硬くなり粘着性が高まってしまうと神経が圧迫され血流が悪くなり筋膜組織が酸欠となり、発痛物質が放出され、筋膜痛が生じます。
俗にいうコリによる痛みです。

〈リリースの方法〉

筋膜には圧、触、熱受容器が存在すると前項で紹介しました。
筋膜痛やコリの原因は血流不全による酸欠状態が原因であるとも説明しました。
つまりそれらの受容器に刺激を与えることで血流が改善し、筋膜痛等の改善につながります。
簡単な方法として、ストレッチやマッサージを行うことが効果的です、ストレッチやマッサージを行うことで固着してしまった筋膜を剥がし滑走させることで筋膜の滑りを良くすることが筋膜リリースと呼ばれるものなのです。

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〈顔面の筋膜について〉

顔面には表情筋群、咀嚼筋群などなどの筋肉が所狭しと存在しています。
もちろんそれぞれの筋肉には筋膜が存在します。
代表的な例を挙げます。
顎関節症(http://www.chiyoda1st.com/2014/08/post-79.html)の咀嚼筋障害の症状に筋・筋膜痛といったものがあります。

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また口呼吸の改善になると話題のあいうべ体操、こちらも顔面の筋肉のマッサージによる血流改善という点では筋膜リリースと関連しているのではないかと考えられています。

つまり筋膜リリースの効果をまとめると
・咀嚼筋が起因となる顎関節症の治療
・口呼吸の改善
・不定形等痛の寛解
・顔面のシワたるみのリフトアップ

など、様々な効果が筋膜リリースにあるということです。

〈顔面筋膜リリースの方法〉

方法としては巷にたくさんの方法が存在します。
今回は代表的な方法を2つほど紹介します。

両腕を方の高さまで上げ、手のひらが前に向くように肩甲骨を起き上がらせながら腕を立てます、手や富士が背中より後ろに行かないように注意です、そのまま10秒キープしましょう。
あごを引いたまま舌を斜め上に突き出して10秒キープしましょう。
口角をあげ最大級のスマイルを作って10秒キープ!
目も口もパーっと大きく広げて10秒キープ
今度は楽な姿勢をとり、あごの真ん中に指を3本おきましょう
モダイオラス(えくぼの部分)にむかって指を滑らせ30秒キープ
さらに引き上げて10秒キープ

これを朝、昼、夜の1日3回行いましょう。

〈あいうべ体操〉

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・『あー』と口を大きく開く
・『いー』と口を大きく横に広げる
・『うー』と口を大きく、前に突き出す
・『えー』と舌を突き出し下に伸ばす

これを1セットとし1日30セット行うと効果があると言われています。

みなさんもぜひ試して、いろいろな効果を実感してみてくださいね!

歯科医師 渡辺知明

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あなたの歯はもっと白くなる!

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歯を磨く時や鏡に写った自分の歯を見て「歯が黄色いなあ」「毎日磨いているのに・・・」
「白い綺麗な歯にしたいな」と思っている方もいると思います。
歯が黄色くなる(黄色く見える)には、いろいろな理由と、その改善方法を説明します。
これを参考に、綺麗な歯にしてみませんか?

歯の色とは?

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歯は、表面を覆うエナメル層、その内側にある象牙質、中心部にある歯髄(神経)の3構造でできています。
エナメル層には、唾液中の糖タンパクなどによってできる薄い被膜を形成する「ペリクル層」や歯垢による「プラーク層」などの有機物が付着しますが、さらにその表面に飲食物などによる着色物質が付着していくと考えられます。
しかし、歯の色を決定するには、表面のエナメル層だけではありません。
その下の層である象牙質の色によるものが大きいのです。

象牙質の色は真っ白ではなく、乳白色をしていますが、より白っぽい人もいれば、黄色みを帯びている人もいます。
エナメル層は半透明なので、この象牙質の色が透けて見え、それが歯の色となります。

日本人を含む東洋人の黄色人種は、欧米系の白色人種に比べて象牙質が黄色みを帯びていたり、エナメル層が薄く象牙質の色が透けて見えやすいといった傾向があるといいます。
そのため、白色人種に比べると、ホワイトニングで歯が白くなりにくいという特徴があります。

歯が変色する原因は?

外因性の原因

① 飲食物や喫煙
エナメル質の表面に飲食物の色素やタバコのヤニ(タール)が徐々に付着し、やがて目に見える形で着色となって現れます。
飲食物では、色の濃いものは着色しやすいといいますが、特に、以下のものは着色しやすいといいます。
・ポリフェノール・タンニン・カテキンが多く含まれる食品(赤ワイン、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、大豆、ぶどう、ココア、チョコレート、ブルーベリーなど)
・色の濃い食品(トマト、ブドウ、カレー、しょうゆ、ケチャップ、ソース、ほうれん草)

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② 虫歯
虫歯になると段階的に歯の色が変色します。
初期には歯の色よりも白い色になり、これが進んでエナメル質が虫歯になると黄色みを帯びてきます。
さらに、虫歯が象牙質まで進むと茶色っぽくなり歯髄(神経)に達すると黒っぽくなります。

③ 詰め物やかぶせ物
虫歯治療で使われる金属製の詰め物やかぶせ物は、年月を経て劣化、腐食が進むと金属がイオンとなって溶け出し、歯や歯茎の黒ずみ、紫っぽい変色を招くことがあります。

内因性の原因

① 加齢
年をとるとともに象牙質の色が濃くなってきたり、エナメル質が摩耗して薄くなることで象牙質の黄色みが透けて見えやすくなることが原因。

② テトラサイクリン
テトラサイクリン系の抗生物質を、永久歯の象牙質が形成されてくる時期(乳児~12歳頃)に服用すると、象牙質の着色を起こすことがあります。
紫外線に反応して濃くなるため、特に光が当たりやすい前歯の色が年齢を経るごとに濃くなる傾向が。
歯に対する副作用が報告されてから使用が控えられていますが、一部の呼吸器疾患や皮膚疾患では現在もしようされています。

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③ エナメル質形成不全症
歯を形成しているエナメル質が、なんらかの原因によって先天的に障害を受け、歯にくぼみができたり黄色い部分ができたりする状態のことです。
1つの歯のみにあらわれる場合もあれば、すべての歯にあらわれる場合もあります。
約10人に1人の子どもにこの症状がみられるというデータもあります。

④ 高濃度のフッ素
永久歯のエナメル質が形成される8歳までの間に高濃度のフッ素を摂取すると、歯に白斑ができたり、黒褐色に変色する場合が。
主に水道水のフッ化物濃度が高い地域の場合ですが、虫歯予防のためのフッ化物配合研磨剤を1~2歳の乳児に使う際は、濃度が低い泡状や液状のスプレーを使うようにするといいでしょう。

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⑤ 歯の神経が死んだ時
外傷などで歯の神経が死んだ時はたいてい出血をともない、赤血球が歯髄内に漏れ出てヘモグロビンが分解され、これが歯髄内で着色物質へと変化し黒ずみの原因に。

以上のように、歯の黄ばみにはお手入れによって飲食物の着色をある程度防げる場合と、自分では防ぎようのない生まれながらの場合や加齢によるものなどがあることを理解しておきましょう。

歯を白くする治療方法

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① 歯石、着色除去やPMTC
一度付着してしまったステインや歯石は歯科医院でとってもらいましょう。
原因がステインだけであれば、除去することで白くきれいな歯になります。
歯石が付着している方は歯周病も併発していることがほとんどです。

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歯周病の治療も受けて、歯ぐきもきれいにすることで、よりきれいな白い歯になります。
どちらも磨き残しが主な原因です。
3ヶ月に一回の定期的な受診で日頃のブラッシングで落としきれていない汚れをとるこをお勧めします。

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② ホワイトニング
原因であげた「加齢」、「歯の神経が死んだ時」に効果のある治療方法です。

加齢による着色は象牙質の色ですから、ホワイトニングでは完全に白くすることはできませんが、変色の程度や状態によって白くできる場合もあります。
神経を取ってしまった歯は、セラミックを被せなければいけないと思っていらっしゃる方も多いと思いますが、その前に試してみる価値のある方法です。

③ 再度の歯科治療
原因であげた「詰め物やかぶせ物」に対しては、再度治療を行います。
むし歯や詰め物の変色、金属による歯の変色はホワイトニングでは改善されません。

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④ ポーセレンラミネートベニヤ
すべての原因に対応することができますが、主に前歯の治療になります。
変色してしまった歯の表面を薄く削り、型取りをして、薄いセラミック作製して歯に接着します。

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歯を大きく削る必要がないため、ご自身の歯を少しでも大切にしたい方にお勧めです。
咬み合わせなど適応がありますので、すべての方にできる方法ではありませんが、希望される方はご相談ください。

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⑤ セラミッククラウン
これはもっと確実に歯を白くすることができます。
しかし、ご自身の歯を大きく土台の形に整える必要があります。
歯の神経がない歯やもともとかぶせ物が入っている歯であれば、さほど気にならないかもしれません。

色や形も変えることができますので、理想的な歯にすることができる方法です。
複数の歯であれば、歯並びや咬み合わせも改善させることも可能です。
またホワイトニングと併用することで、より白くきれいな歯にすることも可能です。

歯の変色の原因と白くする治療方法を述べましたが、色々な原因と方法があります。
保険内で行えるものから、時間と費用をかけてしっかり治すものもあります。

「白くしたい」と悩まれている方、まずは受診して原因と対応方法を相談しましょう。

歯科衛生士:前田由香

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今注目の骨ホルモン!
「オステオカルシン」

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今、医学界で大注目のホルモンがあります。それが骨ホルモン(オステオカルシン)です。
そのオステオカルシンについて、今回はお話ししたいと思います。

骨ホルモン?

骨は骨格を形成するための、体を支えるただの骨組みと思っていませんか?
それが実は違うのです。
骨には全く違う役割があることが分かってきたのです。
骨の内部には血管が通り、髄液が詰まっていて、骨から血管も出ています。
そんな骨から分泌されるホルモンがあります。それが骨ホルモン(オステオカルシン)です。

オステオカルシンは、2007年にコロンビア大学のジェラルド・カーセンティ教授によって発見されました。
このオステオカルシンには、様々な臓器を活性化する働きがあることが分かってきました。

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脳・・・・神経細胞の結合を維持させ、記憶・認知機能を改善
膵臓・・・膵臓の働きを活発にしてインスリンの働きも活性化
肝臓・・・幹細胞の代謝を向上させ肝機能を向上
心臓・・・心臓を活性化し、動脈硬化を予防
小腸・・・糖などの栄養吸収を促進
精巣・・・男性ホルモンを増やし生殖能力を向上
腎臓・・・骨が作るFGF23というホルモンが腎機能を向上、血液をきれいにしてくれる働きを促進
皮膚・・・皮膚組織と同じ種類のコラーゲンを作り出し、シワの数と相関が高いというデータがある

このほか胃と肺にはオステオカルシンとの関連はまだはっきり分かっていないようですが、オステオカルシンが胃や肺の機能向上させる可能性はあるそうです。
ちなみに、骨密度とオステオカルシンの数値は関係がないことが分かっています。

オステオカルシンのサプリメント?

九州大学の平田雅人教授のマウスによる研究によると、オステオカルシンは経口投与の方が、腹腔内に注射して直接投与するよりも、長時間、血中濃度が高い状態が続くことが分かったそうです。
平田教授は、「経口投与は、医療従事者の手を必要とせず、簡単で安全な投与方法という利点がある。経口投与でオステオカルシンの血中濃度を上げることができるので、代謝改善などメタボリックシンドロームの予防薬として使える可能性がある。オステオカルシンの吸収を促進するような物質が見つかれば、それとの併用投与も有効だろう。研究を重ねて、臨床応用の道を探りたい」と話しています。
なので、今後、オステオカルシンのサプリメントが実用化される日がくるかもしれません。

オステオカルシンが出る方法?

2月15日のNHK「ガッテン!」では、簡単にオステオカルシンの分泌を促進する方法を紹介しています。
骨細胞は長い突起を出して、互いにつながりあっています。なので、ひとつの細胞に刺激を与えると周りの細胞にも次々と刺激が伝わって全身の骨細胞が活性化します。その結果、オステオカルシンの分泌を促します。
そこで、オステオカルシンを増やすために一番お薦めなのが、「かかと落とし」です。

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〈かかと落としのやり方〉

(1) 姿勢をよくして、ゆっくり大きく真上に伸び上がる
(2) ストンと一気にかかとを落とす
1日30回以上行う(空いた時間に少しずつでよい)
高齢や体力のない人は、壁などに手をついてやってもOKです。
ただし、絶対に無理はしないでください。
骨粗鬆症の人だけではなく、血糖値が高めの人におすすめです。

オステオカルシンと歯科との関連?

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歯の発生は、歯胚の細胞から作られ成長し、口腔内に萌出する複雑な過程であり、なかでもセメント芽細胞がコラーゲン繊維やオステオカルシンのような非コラーゲン性のタンパク質も分泌することが分かっています。

また、チタンインプラントとその周りの成熟骨との間には無構造層が介在し、その無構造層にはオステオカルシンが多量に分布していることも分かってきています(九州大学)。

かかと落としや歩くことなどのかかとに加わる骨への刺激だけでなく、咬むことによる骨への刺激も、オステオカルシンの分泌に大きく影響しているのかもしれません。
昔から、「しっかり歩くことと、しっかり咬むことが、健康で長生きする秘訣」と聞くことが多々ありましたが、様々な研究で実証されているのかもしれません。
私たち歯科医師は、皆様の「咬むこと」を大切にすることで、少しでも健康で長生きすることのお手伝いができれば幸いです。

歯科医師 梶永佳奈代

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インプラントの骨移植

皆様こんにちは

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このところ、インフルエンザやノロウイルスなどが流行っていますが、みなさま体調はいかがでしょうか。
お仕事や日常生活などなにかと忙しい時期かと思いますので、身体の免疫力が低下し、体調が崩れやすい状態になっている方も多いのではないでしょうか?
ぜひ、今の時期、栄養のある食べ物をとるなどして、お休みの際はゆっくり休養をとり、免疫力の低下を防止することが大切かと思います。

ここ数年の間に「インプラント治療」に関する世間の認識はとても広がりました。
皆様の中にも既にこの治療法を受けている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
そこで、今回は、インプラント治療をする際に、顎の骨の量が少ない場合や骨がない場合に行う、骨の移植などの治療法についてお話ししたいと思います。
そもそもインプラント治療とは、インプラントという人工のネジを、歯が植わっていた顎の骨に埋める治療法です。
そのため、長期的に安定したインプラント治療を行うためにはインプラント体の周りに良質で豊富な骨があることが重要なことになってきます。
ですが、実際インプラント治療を行う場合というのは、歯周病や歯の破折など様々な理由で歯を失ってしまったところにインプラント治療を行うことが多いため、顎の骨の量が足りない場合も多々あります。(歯周病など炎症が強い場合、顎の骨が吸収して少なくなって いることが多いです)
このような状態の骨にもインプラント治療を行い、良好な経過を得るために、現在では、骨の移植や骨補填材の使用を行うことが多くあります。
ここで、まず骨移植の方法と骨移植材料の種類について簡単に説明したいと思います。

<骨移植>

[1]歯槽骨(顎の骨)への骨移植
骨移植はインプラント体を埋める場所の骨が、垂直的または水平的に不足している場合に行います。
方法としては、ベニアグラフト、オンレーグラフト、Jグラフト、細片骨移植などがあります。

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①ベニアグラフト
唇頬側にブロック骨をはりつけて顎堤の幅を獲得するものです。

②オンレーグラフト
顎堤上にブロック骨をのせ、平坦で低い顎堤を高くするものです。

③Jグラフト
垂直的、水平的な骨量が不足している場合に用います。

④細片骨移植
自家骨や移植材料を砕片し、チタンメッシュや遮断膜で被覆して骨量を獲得を期待する方法です。

[2]上顎洞底測への骨移植
(1)サイナスリフト
上あご(上顎)の後方の部分(臼歯部)は、上顎洞という空洞の底が下の方に位置しているため、そこにインプラント治療を行う場合に骨の高さが足りない場合があります。
このような場合に、上顎洞の底に骨を移植して高さを増す方法です。

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(2)ソケットリフト
上顎の頂上部の歯肉を切開し、穴をあけ、上顎洞底の骨が一層残るまでその穴を深くしていきます。
そして、一層残った骨を専用の道具で上顎洞の膜と一緒に持ち上げその隙間に細かく砕いた自家骨などをつめることで、上顎洞底の骨をあげインプラント体を埋入する方法です。

<骨移植材料>

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インプラント治療で使用する骨移植材料には、大きく分けて、自家骨、異種骨、合成代用骨があります。
さらにその形状も、ブロック、細片状、顆粒状があります。下記にそれぞれの特徴を簡単に示します。

①自家骨
自家骨とは、自身の口腔内からまたは口腔外から採取した骨のことです。 口腔内の採取部位は下顎骨のオトガイ部や下顎枝、上顎結節、前鼻棘およびインプラント体埋入部があります。
口腔外では腸骨や脛骨があります。
自家骨は移植材としては優れていますが、採取する部位への侵襲や採取量に制約がでるという問題があります。

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②異種骨
タンパクを除去し、ミネラル成分のみを残した動物の骨で、諸外国では生体親和性の高い脱タンパク牛骨ミネラルが用いられることが多いですが、日本では歯周組織再生療法材料としては厚生労働省の認可をうけているものの、骨増生材としては未承認です。

③合成代用骨
様々な材料がありますが、現在多く使われているのは、ハイドロキシアパタイト(HA)とリン三酸カルシウム(β-TCP)があります。

最後に、骨補填材について簡単にとりあげたいとおもいます。
骨補填材は、骨の代わりとなる人工の補填材料のことです。
単独で使用されることもあれば、骨移植に併用されることもあります。
骨補填材の種類としては、ハイドロキシアパタイト(HA)、β−リン酸三カルシウム(β-TCP)などがあります。
これら骨補填材を使用することで、骨の形成が促進され、骨増生を待つ期間やインプラト埋入後の治癒期間を短縮することが可能となります。

少し専門的なお話になってしまいましたが、インプラント治療での骨移植と骨補填材料について取り上げさせていただきました。
いかがでしたでしょうか?
まだまだ進歩している分野ですので、これからもっと色々な方法や、より効果的な材料が開発される可能性もあるので、歯科医院としてもこれからも注目していきたい分野だと思っております。

歯科医師(臨床研修医)福島 歩

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口腔がん検診

皆様こんにちは。
年末年始と忙しい時期を過ごされて、少しほっとしたいと思われている方が多いのではないでしょうか。
私は初詣で第一に家族の健康と平和な世の中を祈願しました。
祈願しているだけでは歯科医師として説得力が無いので、専門的な見地から健康を維持する対策への一つの提案をしたいと思います。

お口の中の健康が全身疾患に影響する重要な要因であることは皆様もご存じの事と思います。

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歯科医院での定期的な検診では虫歯や歯肉の状態を検査するという事が一般的に知られています。
そして、必要があれば虫歯の治療や歯周病の治療をしていきます。
実はそれ以外にも歯科の検診で検査できることがあるのです。

よく知り合いの方から「歯科医師は歯の治療だけをするのでしょう?」と言われたりします。
しかしながら、我々歯科医師は粘膜の病気にも遭遇し、取り組んでいるのです。
お口の中にもがんができるという事は意外と知られていないのですが、粘膜疾患の一つに口腔がんがあります。今回は口腔がん検診についてのお話しをします。

早期発見の重要性!

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口腔がんはある日突然発症する病気ではありません。 異形成段階と言って、がんになる前の段階のものが数か月、ないしは数年にわたって出現します。
前がん病変は歯科医師によって肉眼で発見されることができます。
粘膜疾患には様々な種類があり、悪性か良性か診断を下すには適切な検査が必要になります。

早期発見、早期治療によって治療の予行は大きく左右されます。
重篤な状態になるまでに発見されることが望ましいのです。

粘膜の異常とは?

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正常な口腔粘膜はつるっと柔らかく、色も淡いピンク色です。
一方、粘膜疾患には以下のような症状が現れます。
1. 白く変色、あるいは赤く変色
2. びらん、小さな潰瘍、時に出血を伴う
3. 触ると硬く、肥厚している
4. 食事中にしみる
5. 口の中のある部分がひりひりする
6. 首のリンパ節の腫れ
などです。

初期の段階ではほとんど痛みが無いため気づかれない場合があります。

口腔内をご自身で定期的にチェックすることは非常に有効です。
その際のチェックポイント

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1. 舌
2. 歯肉
3. 口腔底
4. 頬粘膜
5. 口蓋粘膜
6. 口唇
などです。

合わない義歯や歯の被せ物が原因で慢性的に粘膜に傷ができている場合や、2週間以上治らない口内炎がある場合などは、是非歯科医院へ検査を受けに行くことをお勧めします。

もちろん、口腔内にご自身で気づかない異変がる場合もあるので、1年に2回、ないしは最低でも1回の歯科医院での定期的検査を受診されるのが良いでしょう。

どのような検査をするのか?

最初の検査では、問診、視診、触診を行います。

粘膜の異常は肉眼でも観察することはできるのですが、当医院では組織蛍光発光可視技術を使った口腔内スクリーニング装置としてVELscope VX(ベルスコープ) と言う口腔内蛍光観察装置を用いて口腔粘膜の異形成をより詳しく観察しデーターの採得を行っています。

疑わしい病変が観察された場合は、口腔粘膜疾患を専門的に扱っている専門の科にご紹介させていただき、さらなる検査を行っていきます。

>>検査の流れについてはこちらをご参照下さい。

病理検査
1.細胞診
2.組織診 (生検)

画像診断
1.超音波検査 (エコー検査)
2.X線撮影
3.CT検査
4.MRI検査
5.アイソトープ検査

最も危険な要因は喫煙

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口腔がんの最も重要な発生原因として、喫煙があげられます。
喫煙とさらに飲酒によりそのリスクはかなり増大します。
また、口腔粘膜に傷を作ってしまうような刺激物、(合わない義歯や適合の悪い詰め物や被せ物など) があると、口腔がんの発生確率を高めてしまうと言われています。

日々の生活で気を付けたいのは、熱いものや辛いものなどの刺激物を頻繁に取らないこと、また口の中を常に清潔に保つことです。

日本では口腔がん検診はまだ知名度が低いようですが、欧米ではすでに歯科医院でのがん検診は一般化しています。
今後、高齢化が進む中、がんによる死亡率は確実に上がっていきます。
しかしながら、早期発見、早期治療のチャンスが増えれば、がんによる死亡率が大幅に抑えられることと思います。
我々歯科医師は口腔がん検診を普及させ、国民の皆様の健康にお役にたてればと願っています。

お口の中に何か気になるものができてしまった場合、まずは一人で悩まずに歯科医院に相談しに行くことをおすすめします。

今年も皆様にとって健康で素敵な一年になりますように。

歯科医師 大庭美和子

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2017年・謹賀新年

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あけましておめでとうございます。
謹んで新年のお慶びを申し上げます。

さて,今年・2017年の干支は酉です。
酉(すなわちニワトリ)といえばまっ赤なトサカが印象的ですが,鶏冠にはヒアルロン酸が豊富に含まれています。
ヒアルロン酸はアンチエイジングの代表格であり,法令線を始めとしたシワ取りを思い浮かべる方も多いかと思います。
ヒアルロン酸には,細胞と細胞をつなぐ糊の様な働きがあり保水力も高いため,加齢に伴う膝や肩の関節症の治療にも使われています。歯科・口腔外科の領域では顎関節症の治療において使用されています。

最近当院を来院される患者さんの主訴の中で増加してきているのがこの「顎の関節の異常」と「知覚過敏」,そして「口腔粘膜の異常」です。
顎関節症,知覚過敏,口腔粘膜異常の共通点は「初期治療」と「その後の経過観察」の重要さにあります。軽度の疼痛・違和感を伴うことから,当院では初期治療としてバイオプレート,レーザー,薬剤注入・塗布を主とした緩和療法を第一選択として行っております。

また,これらの主訴は他の疾患との鑑別が困難なことでも共通しています。
なかでも,舌・歯肉等の口腔粘膜の違和感・異常感はレントゲンや電気での診断が行えず,早期の診断が最も困難なものの一つでした。
しかし口腔粘膜異常の中には口腔癌(がん全体の2~3%ですが,甲状腺癌,皮膚癌、白血病よりも高い罹患率となっています)と,その前段階のものも一定程度含まれています。
このため何とか簡便な診断は行えないものかとここ数年考えていたところ,昨年,粘膜の蛍光観察器(ベルスコープ)が日本でも認可されました。
これは視診では判別できない粘膜の角化亢進部位を特殊な波長を持つ蛍光を粘膜に当て,検出する診断器です。
初診時または歯科検診において簡易に使用できることから当院でも昨年夏に導入し,多くの患者さんに「口腔がん検診」としてご利用いただいております。

わが国では,歯磨粉を通じたフッ素の浸透と共にむし歯は近年,北欧と同程度に減少してきました。
しかし,歯周病の罹患率は依然高く,高齢期に歯を失い口腔機能の低下をきたしています。
①社会参加,②筋力の維持,そして③口腔の健康は,厚労省「健康日本21」でも示されている健康長寿に最も必要とされる要素です。

今年も私たちは,皆様の,③口腔の健康維持を十分にお手伝い出来る様,定期的な研鑽を行いながら知識・技術の向上にスタッフ一同で努力してまいります。
また,蛍光観察器,CAD/CAMを始めとしたデジタル機器,新たな補綴素材など,新技術を有する機器・機材の導入を図りながら精度の高い診断と治療を目指して参りたいと考えております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

平成29年 元旦

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医療法人社団星陵会
代表 平 健人



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インプラント治療の社会的課題とCSR
~宗像先生セミナー参加報告~

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こんにちは。
先日,私はストローマンインプラントセミナーに参加してきました。

講師は東京医科歯科大学インプラント外来を経て現在,神奈川歯科大学附属病院口腔インプラントセンターで日々ご活躍されていらっしゃるセンター長の宗像源博准教授でした。

セミナーはまず,インプラントの歴史に始まり,そして診査診断,基本術式と一般的なインプラント治療についての講義の後,骨移植を併用するアドバンスな術式,更には近年歯科でも積極的に導入されているデジタルデータ(CT,CAD/CAM)を用いたインプラント治療まで多岐に渡る幅広い,かつ詳細な内容を含んだ充実したものでした。

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近年のデジタル技術革新に伴い,インプラント治療もここ数年でかなりドラスティックな変化が生じており,コンピューターを使用した3Dシュミレーション等,新たな治療技術が様々に提唱されてきています。

セミナーではこの様な現状を紹介下さる一方で,日々の診療においては直感に頼らず旧来,先人が確立してきた基本的な治療計画・手技を忠実に実践する姿勢こそが最も大切であり,肝に命ずべきことであるという宗像先生の信念とも言えるメッセージが随所に発せられており,私にはこの言葉がとても心に響きました。
私たち歯科医師が模範とすべきは,真にこの宗像先生の仰る姿(外科的臨床におけるEBM)だということを,毎日の臨床に鑑み深く感じました。

インプラント治療は咀嚼・発音などの機能回復の程度(水準)においては従来の義歯に比べて大いに優れています。
他方,外科的侵襲を伴うこと・治療期間が長いこと・自費診療であること等患者さんの負担となる面も有しています。

また,治療後に経過を定期的に観察し,メンテナンスを実施していくことは天然歯と同等(またはそれ以上に)大切です。

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なぜなら,インプラントには天然歯と異なりクッション(歯根膜という歯と骨の間の軟組織)やシーリング(歯と歯肉との付着(結合組織性付着))がないからです。

このため,噛んだ時に顎の骨への衝撃を調整したり,細菌の体内への侵入を防御する点では天然歯に劣ります。
長期間メンテナンスを怠れば歯の歯槽膿漏(歯周炎)と同様にインプラント周囲の粘膜も炎症を起こします。

これを防ぐには第三者(歯科医師・歯科衛生士等)の定期的なメンテナンスと噛み合わせのチェックが大変重要になってきます。

2016年現在,
日本でインプラント治療が定着し約30年が経とうとしています。
最近では当院を初診で受診下さる患者さんが他院でのインプラント治療歴を有していることも珍しくありません。
転勤・転居等により治療元の診療室での受診継続が困難な方も多くなっているのが現状です。

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当院では近年のこの様な社会状況に少しでも寄与できるよう「ノーベルバイオケア (ブローネマルク)」,「ストローマン(ITI)」,「アストラ」,「カムログ」,「アンキロス」,「3i」等主要なインプラントシステムのメインテナンスと被せ物(上部構造)の破損修理等・不具合への対応環境を整備いたしました。
他院でインプラント治療を受けた患者さんもお気がねなくメインテナンス,治療及び上部構造の修理についてご相談ください。

また,継続的なメインテナンスに加え,必要な範囲で噛み合せの調整やブラッシング指導も行わせていただいております。

特にインプラント周囲炎については学会のCIST基準に準じ,β-TCPエアーアブレージョン,ハイドロYgレーザー治療,フォトジェニック治療といった専門学会での基準を満たした治療体制を整え,実施しております。
インプラントも,自分の歯(永久歯・乳歯)と同様に日々の歯磨きによる清掃とメインテナンスが最も重要です。

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私たちは学会の専門医・専門衛生士を配置の上,通常のインプラント治療に加え,これからの学会専門医の社会的責任(CSR)としてインプラント周囲炎に対す治療に対する受け入れを積極的に行っています。

インプラント治療を検討されている方は勿論,他院で既に治療を受けられメインテナンスが継続できていない患者さんは,お気軽に当院までお問い合わせください。

歯科医師 廣田小百合

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再生医療と歯髄細胞バンク

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飢餓状態に陥った細胞が自らのタンパク質を食べて栄養源にする自食作用「オートファジー」の研究で、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が2016年度のノーベル医学・生理学賞を受賞されました。

自然科学分野において日本人が3年連続受賞という快挙は、とても喜ばしいニュースです。

ノーベル医学・生理学賞受賞と言えば、2012年の京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授の受賞で、iPS細胞(色々な臓器になることが出来る人工的に作られた未熟な細胞)という専門用語が広く知れ渡ることとなり、再生医療という研究分野が注目を浴びたのはまだ我々の記憶に新しいところです。歯科においても、再生医療について話題に上ることが最近多くなってきました。 と言いますのも、歯の神経「歯髄」の中に存在する『幹細胞』が、骨や軟骨や脂肪を作り出すのに大変有用であることがわかってきたからです。

『幹細胞』とは様々な臓器になる(分化する)前の子供の(未分化な)細胞です。

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『 歯の幹細胞』

この幹細胞は、親知らずや矯正治療のために抜歯された歯、抜いた乳歯の中にも、存在することが分かってきました。通常、抜去歯は廃棄されますが、この歯から幹細胞を抽出できれば、仕方なく抜いてしまった歯が貴重な幹細胞の供給源になる可能性があります。

歯の幹細胞の優れている点としては、手軽に採取できること、増殖能力が高いこと、歯の中にあるので遺伝子が傷つきにくく癌になりにくいこと、良質なiPS細胞を作れることが挙げられます。

そこで、将来再生医療が現実のものになったときのために、歯の幹細胞を保管しておこうという目的で歯髄細胞バンク(www.acte-group.com)が作られました。

歯髄細胞バンク

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再生医療のキーになる幹細胞は加齢とともに激減してしまいます。そこで、乳歯や親知らずに存在する幹細胞を含むできるだけ若い歯髄細胞を大切に保管しておき、将来再生医療に備えることが歯髄細胞バンクの目的です。

人工材料や医薬品を使う治療と比べ、ご自身の細胞を使う再生医療は、安全性も高く有効な先端医療として世界的に技術開発が進んでいて、アメリカ、韓国、インド、台湾など他国でも歯髄細胞バンクが普及しています。
日本でも歯髄細胞バンク(http://acute-group.com/)には、すでに1,000人近い人の歯が保管されているそうです。ただ、それなりにコストもかかります。こちらのバンクの場合、登録、培養、10年保管でおおよそ30万円。11年目以降はさらに10年保管で12,000円となっています。
現時点では脊髄損傷などの神経疾患、心筋梗塞などの心臓疾患、歯周病や虫歯などの歯科疾患などの領域で研究が進められています。良質なiPS細胞を作ることができるので、将来的には全身への利用が期待されています。
お子様の将来への保険としての利用も増えてきているようです。

歯や顎のみならず、全身の病気の治療に役立つかもしれない歯髄細胞の保管にお金をかけることについて、みなさんどうお考えになりますか?

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昔は乳歯が抜けたら屋根の上や床下に投げたものですが、これからは抜けた乳歯を保管するという新たな選択肢が増えました。
将来への健康への投資として考えてみてはいかがでしょうか?

歯科衛生士 倉田孝子

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歯周病菌+キラーストレス=突然死?

2016年6月18日土曜日夜9時に放送されたNHKスペシャル「キラーストレス」の第1回をご覧になりましたか?

私たちが普段生活をするうえで必ず付き合うことになる「ストレス」が、場合によっては「キラーストレス」となり、私たちを死に至らしめるという事実やそのメカニズム、対策法などを紹介しました。

ストレスホルモンと扁桃体

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ワシントン大学の研究によると、人間はストレス下に置かれると脳にある恐怖や不安を感じたときに活動する「扁桃体」が反応し、その反応が身体のさまざまな箇所にも波及します。

例えば、腎臓からはストレスホルモンが分泌されて心拍数が増えます。さらに血液も固まりやすくなったり、自律神経が興奮して血圧が上昇したりします。
これがいわゆる「ストレス反応」です。

複数のストレスとストレスホルモン

ストレスが一度に複数重なると「キラーストレス」となり、私たちの身体は変調をきたします。
例えば、複数のストレスホルモンが体内に大量に蓄積され、心拍数が増えて血圧が異常に高くなると、その結果、脳血管が耐えきれずに破裂し脳出血を起こします。
心臓の筋肉には多くの血液が流れ動いています。
ストレスホルモンで興奮状態に陥ると、誤って心臓の血管が締めあげられ心臓が動かなくなってしまい、その結果、心不全を招きます(エモリー大学ヴィオラバッカリノ教授)。

ストレスによる心身への負荷は、がん細胞を増殖させるという研究も報告されています。
オハイオ州立大学ソンウィンハイ教授の研究チームは、ストレスホルモンで働き始める「ATF3遺伝子」と呼ばれる免疫に関わる遺伝子に注目しています。
同遺伝子は普段、免疫細胞内で「スイッチoff」の状態で眠っています。
ストレスホルモンが増え、免疫細胞を刺激しはじめると「スイッチon」の状態になります。
すると免疫細胞ががん細胞の攻撃をやめてしまい、がん細胞が増殖しやすくなります。ストレスホルモンが減れば、スイッチoffの状態になって免疫細胞が再びがん細胞を攻撃しますが、恒常的にストレスホルモンが多い状態だと、がん細胞の増殖に歯止めがきかなくなるとのことです。

歯周病菌が血管を壊す殺人細菌に?

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さらにストレスの恐怖は健康な人にも忍び寄ります。
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校デイビット・デイビス教授らの研究チームによると、動脈硬化の人の血管を調べたところ、血管の壁から本来居るはずのない「口の中の細菌」が居たのです。
歯茎の出血などで血管内に侵入し体全体を巡るとともに血管の一部に住み着くのです。

通常は、細菌が血管内に入っても一過性のものですぐに排除されますが、何らかの原因で定着することがあります。

1.通常は細菌が住み着いても命に影響することはないが
2.脳の扁桃体と副腎から発するストレスホルモンが血液中に流れ
3.それによって血液中の鉄分が切り離される
4.この鉄分を栄養にして住み着いた細菌が大繁殖し、血管の壁を破って大出血を起こす
5.これが脳なら「脳出血」、大動脈などの重要な血管で起これば大出血により突然死に至る

ストレスが関係する病気

糖尿病
じんましん・アレルギー
胃炎
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
脳卒中・心筋梗塞
エコノミークラス症候群
うつ病

さらに扁桃体は、昇進・昇格や結婚などといった環境の変化にも影響します。
普通ならば喜ばしいこともストレスになりかねないのです。

ストレス対策には

アメリカ心理学会では

1.ストレスの原因を避ける
2.運動
3.笑う
4.サポートを得る
5.メディテーション

などの対策法法を挙げています。
その中でも興味深いものとして、運動があります。

運動で脳の構造を変える?

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カナダのウエスタンオンタリオ大学の研究によると、運動をすると扁桃体と自律神経をつなぐ延髄と呼ばれる神経細胞に変化が見られるとのことです。

運動をしないと延髄の神経細胞の突起が増え、扁桃体の情報が延髄を介して自律神経に過剰に伝わり、興奮につながります。

運動をすると突起が減るため、ストレスに扁桃体が反応しても自律神経に伝わりにくくなります。
延髄を経由して副腎からストレスホルモンが分泌されるため、ストレスホルモンの低減も期待できるとしています。

どれくらいの運動をすればよい?

延髄の神経細胞の変化を持続させるためには、定期的に運動をすることが必要になります。
その運動量は、
「少し息が上がる程度のウォーキングなどの有酸素運動を30分、週3回」
で大丈夫です。
普段より速く歩くことも同等の効果が期待できます。

私たち歯科医師にできることは?

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「血管に侵入した歯周病菌+キラーストレス→大出血して突然死」を予防する意味でも、まずは血管に歯周病菌が侵入するほど放っておかないようにメインテナンスを行うことが重要だと考えます。
これまでメインテナンスをう蝕や歯周病の再発予防ということで口腔内に限って考えがちだったのですが、これからは予防医学としても歯科が重要なポジションにあるということなのだと思います。

歯科医師 梶永佳奈代

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