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アーカイブ: 8月 2016

歯周病菌+キラーストレス=突然死?

2016年6月18日土曜日夜9時に放送されたNHKスペシャル「キラーストレス」の第1回をご覧になりましたか?

私たちが普段生活をするうえで必ず付き合うことになる「ストレス」が、場合によっては「キラーストレス」となり、私たちを死に至らしめるという事実やそのメカニズム、対策法などを紹介しました。

ストレスホルモンと扁桃体

ワシントン大学の研究によると、人間はストレス下に置かれると脳にある恐怖や不安を感じたときに活動する「扁桃体」が反応し、その反応が身体のさまざまな箇所にも波及します。

例えば、腎臓からはストレスホルモンが分泌されて心拍数が増えます。さらに血液も固まりやすくなったり、自律神経が興奮して血圧が上昇したりします。
これがいわゆる「ストレス反応」です。

複数のストレスとストレスホルモン

ストレスが一度に複数重なると「キラーストレス」となり、私たちの身体は変調をきたします。
例えば、複数のストレスホルモンが体内に大量に蓄積され、心拍数が増えて血圧が異常に高くなると、その結果、脳血管が耐えきれずに破裂し脳出血を起こします。
心臓の筋肉には多くの血液が流れ動いています。
ストレスホルモンで興奮状態に陥ると、誤って心臓の血管が締めあげられ心臓が動かなくなってしまい、その結果、心不全を招きます(エモリー大学ヴィオラバッカリノ教授)。

ストレスによる心身への負荷は、がん細胞を増殖させるという研究も報告されています。
オハイオ州立大学ソンウィンハイ教授の研究チームは、ストレスホルモンで働き始める「ATF3遺伝子」と呼ばれる免疫に関わる遺伝子に注目しています。
同遺伝子は普段、免疫細胞内で「スイッチoff」の状態で眠っています。
ストレスホルモンが増え、免疫細胞を刺激しはじめると「スイッチon」の状態になります。
すると免疫細胞ががん細胞の攻撃をやめてしまい、がん細胞が増殖しやすくなります。ストレスホルモンが減れば、スイッチoffの状態になって免疫細胞が再びがん細胞を攻撃しますが、恒常的にストレスホルモンが多い状態だと、がん細胞の増殖に歯止めがきかなくなるとのことです。

歯周病菌が血管を壊す殺人細菌に?

さらにストレスの恐怖は健康な人にも忍び寄ります。
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校デイビット・デイビス教授らの研究チームによると、動脈硬化の人の血管を調べたところ、血管の壁から本来居るはずのない「口の中の細菌」が居たのです。
歯茎の出血などで血管内に侵入し体全体を巡るとともに血管の一部に住み着くのです。

通常は、細菌が血管内に入っても一過性のものですぐに排除されますが、何らかの原因で定着することがあります。

1.通常は細菌が住み着いても命に影響することはないが
2.脳の扁桃体と副腎から発するストレスホルモンが血液中に流れ
3.それによって血液中の鉄分が切り離される
4.この鉄分を栄養にして住み着いた細菌が大繁殖し、血管の壁を破って大出血を起こす
5.これが脳なら「脳出血」、大動脈などの重要な血管で起これば大出血により突然死に至る

ストレスが関係する病気

糖尿病
じんましん・アレルギー
胃炎
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
脳卒中・心筋梗塞
エコノミークラス症候群
うつ病

さらに扁桃体は、昇進・昇格や結婚などといった環境の変化にも影響します。
普通ならば喜ばしいこともストレスになりかねないのです。

ストレス対策には

アメリカ心理学会では

1.ストレスの原因を避ける
2.運動
3.笑う
4.サポートを得る
5.メディテーション

などの対策法法を挙げています。
その中でも興味深いものとして、運動があります。

運動で脳の構造を変える?

カナダのウエスタンオンタリオ大学の研究によると、運動をすると扁桃体と自律神経をつなぐ延髄と呼ばれる神経細胞に変化が見られるとのことです。

運動をしないと延髄の神経細胞の突起が増え、扁桃体の情報が延髄を介して自律神経に過剰に伝わり、興奮につながります。

運動をすると突起が減るため、ストレスに扁桃体が反応しても自律神経に伝わりにくくなります。
延髄を経由して副腎からストレスホルモンが分泌されるため、ストレスホルモンの低減も期待できるとしています。

どれくらいの運動をすればよい?

延髄の神経細胞の変化を持続させるためには、定期的に運動をすることが必要になります。
その運動量は、
「少し息が上がる程度のウォーキングなどの有酸素運動を30分、週3回」
で大丈夫です。
普段より速く歩くことも同等の効果が期待できます。

私たち歯科医師にできることは?

「血管に侵入した歯周病菌+キラーストレス→大出血して突然死」を予防する意味でも、まずは血管に歯周病菌が侵入するほど放っておかないようにメインテナンスを行うことが重要だと考えます。
これまでメインテナンスをう蝕や歯周病の再発予防ということで口腔内に限って考えがちだったのですが、これからは予防医学としても歯科が重要なポジションにあるということなのだと思います。

歯科医師 梶永佳奈代

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北欧フィンランドからの便り

日本の皆さん,Moi!(もい!=こんにちは!)

8月に入り,日本は本格的な夏がスタートした頃でしょうか?
私が住むフィンランドの夏は,すでに6月最終週末の夏至祭から始まっています.
私の職場は,7月からフィンランド人は1ヶ月ほど(長い人は8月半ばくらいまで!)の夏休みに入っていましたが,少しずつ職場に戻り始めています.日本とは休暇の取り方が随分違うことに驚きます.
この時期のフィンランドはまだまだ陽が長く,私が住む南部の街でも日没は夜10時過ぎです.寒くて暗く,永い冬を越したからでしょうか,真夜中までなんとなく明るいこの季節をみんなが楽しんでいるように感じます.この夏を存分に楽しむために,冬はしっかりと働く!というスタイルで,オンとオフをしっかり使い分けているのですね.

私の住む街は,首都ヘルシンキから特急電車やバスで2時間弱の所にあります.フィンランド第3(第2という人もいますが・・・)の都市といわれていますが,のどかで落ち着いた街です.街はバルト海に面しており,対岸はスウェーデン,港からは毎日ストックホルム行きのクルーズ船が行き来しています.

港から街の中心に向かい川が流れ,川のほとりのお城と大聖堂が街のシンボルです.太陽が比較的しっかり出ているこの季節は,川沿いのお散歩,またカフェやレストランのテラス席でのんびりと時間を過ごすことができます.
大学や研究機関が多く,かつてはフィンランドの首都として栄えた街としても歴史があります.

8月に入ったとはいえ,まだまだ夏です!私が経験しているフィンランドの夏の過ごし方を紹介しますね.

1. サウナ(SAUNA)
 皆さんご存知のサウナはフィンランドが発祥です.
サウナは夏に限らず,一年を通じてフィンランドの生活にはかかせないものです.
フィンランドの家庭にはほぼありますし,ホテルや街の中にも公共サウナがあります.

幸い,私の場合は職場のボスがサウナ好きのため,仕事後に(時には仕事を早めに切り上げて(笑)),郊外のサウナへ向かうことが多いです.
海または湖の畔のサウナで暖まり,写真のような桟橋からそのまま海へ浸かりサウナへ戻ることを繰り返します.
サウナの石の上や焚き火で焼いたソーセージ・マッカラにマスタードをつけて食べるのも最高です!
気温が比較的高いこの季節は,水温も高いので気分爽快です.逆に真冬の水温は0℃ですので,もはや『訓練』といった感じですが...

2. ベリー摘み
 フィンランドでは野生のブルーベリー(ビルベリー)を森や林,時には道ばたなど,あちこちで摘むことができます.
私たち素人はベリーをみつけてはひとつひとつ手で摘みますが,フィンランド人は何せ一年分のベリーをこの時期に収穫するわけです.

森へ入り込み,バケツを片手にベリー摘み専用の熊手と収穫容器一体型の兵器を持って,ザクザクと収穫していきます.
街のスーパーマーケットにはベリー収穫セットコーナーが設置されるほどです.

フィンランドでは,自然に感謝し楽しむのは皆の権利とされており,ルールを守ればどこでも(私有地でも!)自由に足を踏み入れ,ベリーやキノコを摘むことが許されています.
国土の8割ほどが森と湖ですので,人と自然の共存が感じられます.


3. アイスクリーム
 夏といえば,どこの国でもアイスクリーム!!でも,ご存知でしたか?フィンランドはアイスクリームの個人消費量が世界で最も多い国のひとつであることを!
スーパーやショッピングセンターのアイスクリーム屋さんの他に,5月末頃から街の広場や公園,道端など至る所にアイスクリームスタンドが立ちます.
小さな子供からお年寄りまで,アイスクリームを食べながら街を歩く姿が見られます.

フィンランドの夏の過ごし方,想像できましたか??日本の暑い夏,アイスクリームを食べた後はしっかり歯磨きを!!キシリトール(できれば100%に近いもの)を摂取するのもお忘れなく!!

キシリトール発祥の地,フィンランドから夏のご挨拶でした.
また,フィンランド歯科事情を含めてお伝えさせていただきます!

Hyvää kesää !! (ヒューバー ケサー!!=楽しい夏を!!)
Moi moi !!(もいもい!!=さようなら)

歯科医師 八田みのり(フィンランド在住,留学中)

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